新規事業を立ち上げることになったものの【企画書の作り方】を知らないまま、新規事業を進めるのは、難しいですよね?
新規事業を立ち上げることになったあなたも、正しい企画書の作り方を知っているだけで、新規事業の企画が評価され、アイデアが採用されるようになります。
以前の私は、新規事業を立ち上げる時の企画書の作り方を理解していなかったので、企画書が評価されずに、何回も企画書を書き直していました。新規事業の立ち上げをたくさん経験し、企画書を書く時のポイントを理解してからは、企画が評価され、新規事業として採用されることが増えました。
ということで、このページでは、①企画書に必要な項目 と、②企画書作成の重要なポイント について解説していきます。
この記事を読み終える頃には、新規事業の立ち上げに必要な企画書の作り方を理解し、自信を持って企画書を作成・提案できるようになっています。
1 新規事業の立ち上げにおける企画書とは?
ビジネスの世界における企画書とは、これまで会社になかった新規事業の立ち上げ、新しいシステムの導入、業務改善の提案 など、自分の考えをまとめた文書 のことです。提案書、計画書、レポート などと呼ばれることもあります。上司や経営者の承認をもらうために回覧される場合、稟議書と言われます。人や組織によって、呼び方が変わりますので、明確な定義はありません。
新規事業を立ち上げる時に、作成する文書として
- 事業企画書
- 事業計画書
があります。両者のちがいを知ることで、事業企画書がより理解しやすくなります。事業企画書と事業計画書のちがいを、以下に簡単にまとめました。
| 事業企画書 | 事業計画書 | |
| 目的 | アイデアの提案と承認を得るため | 実行の準備や資金調達を進めるため |
| 作成のポイント | 簡潔に概要を記載する | 具体的に詳細な内容を記載する |
| 作成のタイミング | 新規事業の立案時・承認を得る時 | 新規事業が承認され実行する時 |
| 見せる人 | 経営者、承認者、チームメンバー | 経営者、投資家、チームメンバー |
| 分量 | パワポで10~20ページ | パワポで30~40ページ |
【注意】人や組織によって、事業企画書と事業計画書をほとんど同じ意味で使う場合もあります
つまり、事業企画書とは、新規事業のアイデアを提案し、承認を得るために作成する 簡潔で概要を記載した文書 のことです。
ただ、
- 簡潔って、どこまで書けば良いの? 書く項目は?
- 承認を得るためのポイントは?
などの疑問がわいてくると思います。これらの疑問は、以下の項目で説明します。
2 企画書に必要な項目
新規事業を立ち上げる時に作成する事業企画書は、経営者や承認者にわかりやすいように、簡潔に書きますが、必ず書いておくべき項目があります。必ず書いておくべきなのは、以下の9項目です。より理解してもらうために、さらに項目を追加したり、詳細な内容を記載することもあります。
- 表紙
- エグゼクティブサマリー(要約)
- 背景と課題
- 解決策(新規事業のアイデア)
- 市場調査
- マーケティング戦略
- 必要なリソース
- 収益計画
- リスク分析
表紙
表紙は、事業企画書の顔ですので、とても重要です。表紙には、以下の項目を必ず記載してください。
- タイトル
- 作成日
- 作成者
簡潔で魅力的なタイトル をつけてください。できれば、サブタイトルをつけ、表紙で内容がわかるようにします。
エグゼクティブサマリー(要約)
エグゼクティブサマリーとは、事業企画書の重要なポイント(背景と課題、事業アイデア、市場状況、マーケティング戦略、収益計画、リスク など)を、簡潔にまとめたものです。企画書の全体像を、わかりやすく記載します。忙しい経営者や決裁者に、内容を理解してもらい、納得してもらうためには、必須の項目です。
背景と課題
なぜこの新規事業が必要なのか? 何のために新規事業を進めるのか? そのアイデアを考えるに至った顧客ニーズや市場環境 などを説明します。また、顧客がかかえている課題や問題点を、具体的に記載します。
この課題や問題を解決する方法として、次の事業アイデアが有効であると、つなげていきます。
解決策(新規事業のアイデア)
まずは、新規事業のアイデアを簡潔な一文で説明します。例えば、私たちの事業アイデアは、〇〇を活用して△△という課題を解決する新しい□□サービスです のように記載します。その後で、提案する新規事業のアイデアを具体的に書き、経営者や決裁者が納得できるような情報を盛り込んでいきます。提供する価値や競合他社との違い、さらに実現可能である根拠 などを示すことで、説得力をもつ内容になります。
市場調査
市場調査では、以下の内容を調査します。競合企業の調査は、念入りに行ってください。
- 顧客調査
- 顧客の属性は? 年齢、性別、職業、収入、居住地 など
- 顧客のニーズは? 具体的なニーズや課題 など
- 行動パターンは? 商品やサービスを利用する理由、購買の意思決定の流れ など
- 競合調査
- 競争状況は? 競合企業を特定し、特徴や市場シェア など
- 競合の強み・弱みは? 技術力、ブランド力、コスト競争力 などの強み、顧客サポートの不足、商品ラインナップの狭さ などの弱み
- 競合の戦略は? 価格戦略、マーケティング戦略、ターゲット顧客 など
- 業界調査
- 業界の特徴は?
- 業界のトレンドは?
- 業界のリスク・チャンスは?
市場調査で、ターゲット市場の中で、競合他社と戦うのに有利な立ち位置 を見つけます。
マーケティング戦略
マーケティング戦略とは、新しい商品やサービスを顧客に知ってもらい、それらに興味をもってもらい、最終的に購入してもらうためにどのような活動を行うか? ということです。
市場調査で、競合他社と戦うのに有利な立ち位置を見つけていますので、マーケティングの4P(製品、価格、流通、プロモーション)の具体的な施策を考えます。それぞれの施策で考えるべき具体的な内容は、以下の通りです。
| 4P | 概要 | 具体的な項目 |
| 製品 | 提供する製品・サービスは? | 機能、内容、パッケージ、デザイン、品質、付帯サービス |
| 価格 | 製品・サービスの価格は? | 標準価格、割引、支払い方法、支払期限 |
| 流通 | 流通経路はどうするか? | チャネル、流通範囲、品ぞろえ、輸送、ロジスティクス |
| プロモーション | コミュニケーションはどうするか? | 広告、販売促進、PR、口コミ、SNS |
必要なリソース
まずは、社内リソース(社内の経営資源)を活用して、どのように新規事業を立ち上げるのか?を説明します。社内リソースの中でも、ヒト(人材)、モノ(設備や技術)、カネ(資金)、情報 に着目しながら、計画をたててください。具体的には、以下の項目について記載します。
| 社内リソース | 検討項目 |
| ヒト(人材) | 誰を選ぶか? 人材がもつスキル・経験 をどう活用するか? |
| モノ(設備や技術) | 土地、建物、設備、知的財産 など活かせるものは何か? |
| カネ(資金) | 十分な資金があるか? |
| 情報 | 市場調査や分析、業界内外のネットワーク など活かせるか? |
社内リソースで足りない部分は、外部リソースの活用について、説明してください。
収益計画
収益の見込みについて、大まかな売上と利益を予測します。具体的な数値を用いて、現実的な予測を行う ことが重要です。企画を評価してもらうために、楽観的な収益計画を立てると、逆に信用されなくなりますので、注意が必要です。
説得力を高めるために、わかりやすいグラフや表を活用して視覚的に説明してください。できれば、5年先まで計画を立てると、事業の見通しがイメージできます。
以下の項目は必ず記載してください。
- 売上高
- 売上原価
- 粗利(売上総利益)
- 販管費(販売費および一般管理費)
- 営業利益
リスク分析
新規事業の立ち上げで予想されるリスクとその対応について記載します。新規事業を立ち上げる時は、予想外の問題やトラブルが、必ず発生します。事業企画書の中に、発生が予測されるリスクと、それに対する予防策や対応策を考えておくことで、評価が高まります。
考えられるリスクについて、以下に示します。
- 売上が伸びない(どうやって売上を確保するか?)
- 新しい商品やサービスの登場(どうやって競合と差別化するか?)
- 資金不足(余裕をもった資金計画か? 不足時はどこから資金を調達するか?)
- 新しい技術の登場(新しい技術にどう対抗するか? 技術開発をどう進めるか?)
- メンバーの脱落や退職(どうやって人材に定着してもらうか? どうやって組織を運営するか?)
3 企画書作成の重要なポイント
作成した事業企画書は、経営者や承認者に提案し、承認をもらう必要があります。承認をもらうためには、3つの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえれば、承認される可能性が高まりますので、意識しながら事業企画書を作成してください。
企画書作成の重要なポイントは、主に以下の3つです。
- 課題と解決策を明確にする
- 調査結果や客観的データを活用する
- 承認者の重視するポイントを意識する
課題と解決策を明確にする
課題と解決策を明確にする を言い換えると、仮のビジネスモデルを構築する ということです。
顧客の抱える課題と、その解決策を明確にすることは、新規事業の核となり、ビジネスモデル(ビジネスを成立させている仕組み)の構築につながります。新規事業の立ち上げを成功させるためには、ビジネスモデルをしっかり考え、利益を出せる仕組みを構築することが必須になります。
企画書を作る段階では、仮のビジネスモデルを構築するところまでは、考えておく必要があります。つまり、顧客の抱える課題を基に、①誰に ②どんなサービス(どんな価値)を ③どのような仕組みで提供し ④どう利益を得るか 仮説を立ててください。
また、課題と解決策を明確にすることにより
- 具体的なビジネスモデルの構築につながる
- 経営者や承認者の理解を得やすくなる
- 具体的は実行計画が立てやすくなる
などのメリットが生まれます。
調査結果や客観的データを活用する
調査結果や客観的データを活用することにより、事業企画書の信頼性を高め、説得力を持たせる ことができます。
活用する時のポイントは、以下の通りです。
- 信頼性の高い情報源を使用する
- データを正確に引用する
- 見やすく分かりやすい形で提示する
- 複数の情報源を組み合わせる
- 古いデータは避ける
なるべく正確で客観的なデータを活用してください。
承認者の重視するポイントを意識する
経営者や承認者が、重視するポイントは? どのような視点で見ているのか? を知ることは、非常に重要です。なぜなら、重視するポイントを知れば、企画書のどの項目を強調するか わかるからです。その結果、企画の評価を高めることができ、企画が採用されやすくなります。
経営者や承認者が重視するポイントの例として
- 実現が可能なのか? 予想されるリスクは?
- 全社的な戦略や方向性と整合性がとれているか?
- 1~5年後の 売上高は? 利益は? 市場シェアは?
- 必要な資金はいくらか?
- 社内リソースを活用できるか?(誰を選ぶか? 業界内外のネットワークを活かせるか?)
などが考えられます。
経営者や承認者が重視するポイントを意識しながら、事業企画書を作成することをおすすめします。
4 企画書のレベルをもっとアップさせるコツ
これまでに説明したポイントをおさえつつ、事業企画書を作成すれば、かなり評価の高い企画書が出来上がるはずです。さらに、内容を評価してもらい、新規事業として採用される確率を上げるためには、以下の点を心がけてください。企画書のレベルがもう一段アップするのは、間違いありません。
- 簡潔でわかりやすい言葉を使う
- 熱意を込める
- 承認後のアクションプランを提案する
簡潔でわかりやすい言葉を使う
新規事業の担当者は、新規事業のことをずっと考えていますが、経営者や承認者は、新規事業のことばかりを考えているわけではありません。特に、新規事業は新しい顧客に、新しい商品やサービスを提供しますので、担当者以外は、背景、課題、解決方法、市場調査の結果 などについて、事前の知識が少ない場合がほとんどです。
経営者や承認者に理解してもらい、企画書を評価してもらうためには、簡潔でわかりやすい言葉を使うべきです。カッコつける必要はありません。素人でも理解できるように、わかりやすく説明 してください。専門用語や普段使わない言葉は、なるべく避けた方が、相手に理解してもらえます。専門用語をたくさん使うのは、おすすめできません。
熱意を込める
事業企画書に、熱意やモチベーションについて記入することは少ないですが、ミッションやビジョンにつながってくる大切な要素です。経営者や承認者は、新規事業を成功させて欲しいと願っていますので、熱意を感じる事業企画書を評価する傾向 があります。
まずは、新規事業を立ち上げたいという強い意志をもって、事業企画書を作成してください。そうすれば、言葉の端々に熱意が込められ、経営者や承認者に気持ちが伝わります。
承認後のアクションプランを提案する
アクションプランを提案することにより、経営者や承認者は、事業がどのように進んでいくのかをイメージしやすくなり、より具体的なアドバイスや意見を引き出せます。
各ステップのスケジュールが明確で、具体的な課題ややるべきことが書いてあると、企画書を見ている側も、承認しやすくなります。また、チームメンバーも、次にやるべきことが明確なので、業務を進めやすくなります。
5 まとめ
今回の記事では、新規事業を立ち上げる時の企画書の作り方を解説しました。正しい企画書の作り方とポイントを理解し、それに基づいて企画書を作成するだけで、新規事業の企画が評価され、アイデアが採用されるようになります。企画書に必要な項目と重要なポイントについて確認しながら、新規事業の企画書を作ってみてください。
企画書作成の重要なポイント
- 課題と解決策を明確にする
- 調査結果や客観的データを活用する
- 承認者の重視するポイントを意識する