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新規事業の撤退基準はどうする? 撤退基準が必要な5つの理由


 新規事業を立ち上げることになっても、【撤退基準】が決まってないと、うまくいかなくても、いつまでも業務をやり続けるのではないか? と考えてしまい、とても不安ですよね?

 新規事業を立ち上げることになったあなたも、撤退基準の重要性を知っていれば、ズルズルと業務を続けることが、なくなるので安心です。

 以前の私は、撤退基準についての知識が、ほとんどなかったので、経営者に撤退を告げられるまで、なんとかなる! と信じて、がむしゃらに業務を行っていました。その結果、撤退が決まった後には、燃えつきてやる気を失い、新規事業の立ち上げに携わりたくないと、考えていました。新規事業の撤退を経験するうちに、撤退の重要性に気づき、撤退基準を決めてから、新規事業に取り組むようになりました。

 このページでは、①撤退基準が必要な理由 と、②撤退基準の具体例 について解説していきます。

 この記事を読み終える頃には、撤退の重要性を理解し、撤退基準を決めてから、新規事業に取り組むようになります。

1 撤退基準が必要な5つの理由

 新規事業を始めるのは簡単ですが、新規事業の撤退は非常にむずかしく、苦しいものです。新規事業の成功を目指して、日々努力を重ねることは、とても重要です。しかしながら、それと同じくらい重要なのが、引き際を見きわめること です。新規事業にリスクはつきものですが、撤退基準を明らかにしておけば、次の成功への第一歩にもなります。なぜなら、大きなダメージをこうむる前に、余力を残して撤退することが、次のチャンスにつながるからです。新規事業を始める時には、撤退基準も同時に考えて下さい。

 以下に、撤退基準が必要な5つの理由をまとめました。

  1. 感情的な判断を防ぐため
  2. 大きな損失を防ぐため
  3. 経営リソースを無駄にしないため
  4. 判断の先送りを防ぐため
  5. 失敗の責任を個人に押し付けないため

感情的な判断を防ぐため

 新規事業の立ち上げに携わる人は、時間や労力、お金をかけて、成功に向けて一生懸命にとり組んでいます。新規事業に対して、熱い想いや情熱が込められています。そのため、撤退に関して冷静に判断するのが、非常に困難です。ここまでやったのだから、もう少しで何とかなる・・・・、ここで諦めたらもったいない・・・・、などと考えてしまいがちです。こうなると、客観的には撤退すべき状況であっても、ズルズルと続けてしまい、判断を誤ってしまう可能性が高まります。

 明確な撤退基準があれば、感情にとらわれずに、冷静な判断がくだせます。

大きな損失を防ぐため

 新規事業の担当者は、成功を夢見て、新規事業の立ち上げにとり組んでいますので、撤退するとの考えが頭にありません。そのため、どうしても撤退の判断が遅れがちになります。もし赤字が続いている状況で判断を先延ばしにすると、毎月毎月損失が積みあがっていきます。

 さらに、撤退基準がないと、もう少し広告費をかければなんとかなる・・・・ メンバーを増やせば契約数が増える・・・ などと、成果が出ていないのに、追加投資を重ねてしまうことがあります。結果的に、回収の見込みがないまま、費用だけが増え続けてしまいます。

 撤退基準があれば、一定ラインで歯止めがかかり、損失を最小限におさえられます。 

経営リソースを無駄にしないため

 ここでの経営リソースとは、ヒト(人材)モノ(設備や技術)カネ(資金)時間 のことです。経営リソースは限りがあり、使えば他で使えなくなります。適切な使い方をすれば、利益を生み出しますが、間違った使い方をすれば、経営リソースが無駄になり、何も生みだしません。つまり、経営リソースの適切な配分が、経営の成否を決めると言っても、過言ではありません。

 撤退基準がないと、成果が見込めない事業に、ずーっと投資を続けてしまいます。さらに、限られたリソースを今やるべきことに、振り分けられなくなってしまいます。撤退基準があれば、経営リソースの無駄使いが、かなり減ります。

判断の先送りを防ぐため

 たとえ経営者であっても、新規事業を撤退するという意思決定を下すのは、簡単ではありません。もう少しすれば、状況が好転するかもしれないと期待して、判断を先送りしたくなりがちです。しかしながら、新規事業がうまくいっていない時に、もう少し様子を見よう! と、判断を先送りにすると、事業の状況はさらに悪化し、問題が大きくなることが、ほとんどです。

 判断の先送りにより、①損失の拡大 ②モチベーションの低下 ③社内外からの信頼低下 ④既存事業への悪影響 などを、招いてしまいます。

 撤退基準が決まっていれば、迷いが少なくなり、冷静に判断できます。

失敗の責任を個人に押し付けないため

 新規事業がうまくいっていないと、努力が足りなかった! 覚悟がなかった! などの精神論で評価されがちです。また、ニーズがなかったり、差別化できなかった のが、失敗の原因だったとしても、担当者の能力や資質のせいにされてしまうことは、よくあります。新規事業がうまくいかないのは、いくつもの要因が絡み合っている場合がほとんど です。個人に責任があることは、ほとんどありません。

 また、失敗の責任を個人に押し付けてしまうと、①誰も新規事業に挑戦しなくなる ②人材が流出する ③知識やノウハウが共有されない などの弊害が生じてしまいます。

 撤退基準があれば、責任の所在を個人に押し付けることがなくなり、安心して新規事業に挑戦できるようになります。

2 撤退基準の具体例

 新規事業の撤退基準は、2段階に分けて考えてください。新規事業の成長段階に合わせて、以下の2段階に分けて撤退基準を設定するのです。

撤退基準を設定する時の分類

  • ビジネスモデルが固まるまで
  • ビジネスモデルが固まり利益が出始めてから

 ビジネスモデル(ビジネスを成立させている仕組み)が固まるまでは、定性的な基準(数値化できない基準)で評価します。新規事業の立ち上げでは、ビジネスモデルを確立することが、最優先の課題です。①誰に ②どんなサービス(どんな価値)を ③どのような仕組みで提供し ④どう利益を得るか の仕組みを作り上げるために、試行錯誤をくり返してください。具体的な数値で評価するのは、その後です。

 ビジネスモデルが固まり利益が出始めてからは、定量的な基準(数値化できる基準)で評価します。この段階では、今後の見通しがある程度みえてきますので、具体的な数値を基準にして、評価できるようになります。

ビジネスモデルが固まるまで

 ビジネスモデルが固まるまでは、具体的な数値で評価してはいけません。この段階では、新規事業としてビジネスが成立し成長しそう! との確信をもてるか?を、大切にしてください。

 撤退基準の具体例は、以下の通りです。ただ、この段階で撤退を判断するには、少し早すぎると思います。もし実現の可能性が低い場合は、撤退の前に変更や見直しも検討してください。

  • ビジネスモデルは確立できたか?
  • ターゲット顧客のニーズ(欲しい、使いたい など)が確認できたか?
  • 他社との差別化ができたか?(選ばれる理由が見つかったか?)
  • 仮説検証をくり返した結果、仮説(課題、顧客、価値 など)が裏付けられたか?
  • 規制や法律の問題は解決できているか?
  • 社内の理解や協力体制が得られているか?

 これらは一例にすぎません。自分たちの状況に合わせて、最適な撤退基準を設定してください。

ビジネスモデルが固まり利益が出始めてから

 この段階になると、定量的な基準を取り入れ、事業として利益を出していけるのか? 客観的な数値を中心にして、評価していきます。ただ、達成がむずかしい目標や高すぎるハードルを設定すると、すぐに撤退となってしまいますので、現実的な撤退基準を設定してください。

 撤退基準の具体例は、以下の通りです。

  • 事業開始から3年後の売上高が、1億円にならなかったら、撤退を検討する
  • 黒字化の予測時期が半年以上遅れ、改善の見通しが立たなかったら、撤退を検討する
  • 6か月連続で、月次の解約率が5%以上であれば、撤退を検討する
  • 粗利率が30%未満のまま、6ヶ月経過したら、撤退を検討する

 これらを参考にして、自分たちに合う撤退基準を、柔軟に設定してください。

3 撤退を判断する時のポイント

 撤退基準は、定めて終わりではありません。撤退を判断する方が、もっと大変です。撤退を判断する時には、たくさんの重要なポイントがありますが、最も重要なポイントは以下の2つです。

  • 誰が判断するか?
  • 撤退の影響をどうやって最小化するか?

 撤退基準を設定する時に、この2つのポイントについても、あらかじめ考えておくことをおすすめします。撤退の最終判断者を後から決めるのは、非常に困難です。また、撤退は事業に計り知れない影響を与えますので、具体的な対策は事前にイメージしておく必要があります。

誰が判断するか?

 撤退を誰が判断するか? これはきわめて重要です。多くの人が関わった方が、良い判断が得られると考える人がいますが、間違いです。多くの人が賛成するからといって、正しい判断とは限りません。逆に、多くの人が反対するから、新規事業が失敗するわけでもありません。判断する者は、なるべく限定するべきです。限られたメンバーで、新規事業の撤退について徹底的に、検討するのです。

 判断する者は、以下のどちらかをおすすめします。

  • 経営者
  • PMO(Project Management Office)

 撤退の判断は、新規事業の現状と撤退基準を吟味し、冷静かつ中立の立場で、行ってください。新規事業の責任者との打ち合わせをくり返しながら、現状と今後の見通しについて議論を重ねてから判断してください。撤退を決めた後に、決定を覆すと、社内が混乱しますので、絶対に避けるべきです。

撤退の影響をどうやって最小化するか?

 新規事業の撤退は、経営判断の1つにすぎませんが、社内および社外には、大きな影響を及ぼします。発生する影響を軽く見てしまうと、①信頼の低下 ②社員の士気の低下 ③挑戦意欲の喪失 など多くの問題を、引き起こす可能性が高まります。

 ここでは、撤退の影響を最小化する具体的な方法について、社内と社外の2つの観点から、解説します。

社内への対応

 社内とは、新規事業に携わったメンバーと社員を指しています。撤退が決まったら、なるべく早くなるべく正直に、説明を行ってください。できれば、会議室などで、社員に直接話しかけるのがベストです。社内への対応で、特に重要なポイントは以下の3つです。

  • なぜ撤退するのか? 合理的なデータや撤退基準に基づいて説明する
  • 新規事業に関係したメンバーの努力や成長を評価する
  • 撤退によって役割を失った社員の異動や再配置の支援を行う

社外への対応

 社外とは、主に取引先と顧客を指しています。新規事業からの撤退と聞くと、取引先は、これからも取引は続くのか? と気になりますし、顧客は、これからサービスはどうなるのか? と不安な気持ちを抱えています。彼らには、不安を和らげるために、真心をもって 対応してください。特に重要なポイントは以下の3つです。

  • 正確かつ丁寧に、状況を説明する
  • 代替サービスや協業先を紹介する
  • 損失や損害に対して補償を行う

4 撤退から学べること

 新規事業の検討を進めたものの、撤退することになっても、気を落とす必要はありません。撤退はよくあることです。撤退を決断できずに、ズルズルと続けてしまい、大きな損失をこうむる方が、大きな問題です。撤退は失敗ではなく、学びの機会だったとポジティブにとらえ、次の挑戦に活かすことが、何よりも大切です。撤退することになっても、捲土重来(一度失敗した者が再び勢いを盛り返すこと)という言葉を信じて、新規事業に何回も何回も、挑戦してください。あきらめなければ、成功する可能性は、十分にあります。数回、新規事業を撤退しただけで、あきらめないでください。

 撤退から学べることを、以下に列挙します。これらをきちんと振り返り、次に活かすことで、新規事業の成功が近づいてきます。

  • 新規事業を立ち上げ大変さ
  • ニーズを見きわめるむずかしさ
  • 顧客を理解することの重要性
  • 差別化のむずかしさ
  • マーケティング戦略のむずかしさ
  • 経営リソースの最適な配分
  • チームビルディングのむずかしさ
  • 収益化のむずかしさ
  • コミュニケーションの大切さ
  • 社内外の関係者との関係構築

5 まとめ

 今回の記事では、新規事業の撤退基準が必要な5つの理由について解説しました。新規事業を始めるのは簡単ですが、撤退は非常に難しい決断です。できれば、誰もが避けたいと考えています。新規事業の撤退基準を決める場合は、①ビジネスモデルが固まるまで ②ビジネスモデルが固まり利益が出始めてから の2段階に分けて考えてください。また、撤退を誰が判断するか? と、撤退の影響をどうやって最小化するか? は、あらかじめ考えておくべきです。もし新規事業から撤退することになっても、落ち込む必要はありません。多くのことを学び、次に活かせば良いだけです。

新規事業の撤退基準が必要な5つの理由

  1. 感情的な判断を防ぐため
  2. 大きな損失を防ぐため
  3. 経営リソースを無駄にしないため
  4. 判断の先送りを防ぐため
  5. 失敗の責任を個人に押し付けないため

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