新規事業の担当者になった時、新規事業の【マーケティング】を知らないまま、業務を進めるのは、かなり不安ですよね?
新規事業の立ち上げを担当することになったあなたも、新規事業のマーケティングを成功させる5つのポイントを知れば、新しい商品やサービスが顧客に受け入れられ、新規事業をスムーズに進めることができます。
以前の私は、新規事業を立ち上げる時のマーケティングについて、知識がありませんでしたので、勘と周りのメンバーの意見をなんとなく聞きながら、マーケティング活動を行っていました。その結果、ほとんどニーズのないサービスを提供したり、プロモーションに力を入れても、全く売り上げにつながらなかったりを、くり返していました。新規事業の立ち上げ業務を、数多く経験するうちに、マーケティングを成功させるポイントがわかり、新規事業がスムーズに立ち上がるようになりました。
このページでは、①新規事業のマーケティング と、②成功させるポイント について解説していきます。
この記事を読み終える頃には、新規事業のマーケティングと成功のポイントを理解し、新規事業をスムーズに軌道にのせることができるようになります。
1 新規事業のマーケティングとは?
新規事業のマーケティングとは、新しい商品やサービスを顧客に知ってもらい、それらに興味をもってもらい、最終的に購入してもらうために行うすべての活動 のことです。
あなたが提供したい新しい商品やサービスのことを、まだ誰も知りません。
ですので、
- 誰をターゲット顧客にするか?
- 本当にニーズはあるのか?
- 競合はいるか? 競合とどう差別化するか?
- 顧客へどうやってアプローチするか? 具体的なチャネルは?
- 顧客とどのようなコミュニケーションをとるか?
- テストマーケティングはどうするか?
- これまでの活動はうまくいったか? どのように改善するか?
などを考えながら、具体的な活動をくり返し行い、売れる仕組みをつくることが、必要になります。これらの活動が、新規事業のマーケティング です。
2 マーケティングの手順
新規事業を立ち上げる時のマーケティングには、基本的な手順があります。3段階で考えるのが、おすすめです。以下の3段階に従って、進めてください。
- 環境分析
- 外部環境と内部環境を分析します。顧客、競合、自社の観点から分析することが、特に重要です。
- 標的市場とポジショニングの選定
- 狙った市場を細分化し標的市場を決め、自社の立ち位置を決めます。
- マーケティングの4Pを検討
- 標的市場に対して、製品(何を?) 価格(いくらで?) 流通(どのチャネルで?) プロモーション(どうコミュニケーションとるか?) 検討します。
環境分析
環境分析では、現在企業がおかれている状況を多角的に把握し、これから起こりそうな環境変化について、予想していきます。社会の変化や競合企業の動向により、新規事業にどのようなチャンスがうまれるかを考え、自社の持つリソースでできる具体的なアクションを模索していきます。
環境分析を効率的に行うためには、①外部環境 ②内部環境 に分けて分析してください。それぞれの分析での具体的なポイントを、以下に列挙します。
外部環境の分析
- 業界分析(業界の特徴、トレンドは?)
- 商圏分析(市場規模、成長性、収益性は?)
- 顧客分析(顧客の属性、顧客ニーズ、行動パターンは?)
- 競合分析(競争状況、競合他社の強み・弱み、新規参入の可能性は?)
- 参入市場の重要成功要因(Key Factor for Success)は何か?
- 参入市場にどのようなチャンスがあるか?
- 参入市場のリスクは何か?
- 競合に対する対策はどうするか?
内部環境の分析
- 自社が持つリソースは?(人材、設備、資金力、顧客基盤、ブランド力 など)
- 組織文化は?(新規事業を受け入れるカルチャーがあるか など)
- 物流体制や拠点が活用できるか?
環境分析では、SWOT分析、3C分析、PEST分析、ファイブフォース分析 などのフレームワークを使ってください。フレームワークを使えば、新規事業の立ち上げ時の課題や未知の要素、失敗のリスク などが視覚化でき、客観的に把握できます。
標的市場とポジショニングの選定
環境分析を行った後、自社の強みを活かせる魅力的な市場を見つけ、競争優位性を確保するための方法を考えます。市場をいくつかのグループに分け、その中のあるグループに狙いを定め、そのグループに商品やサービスを提供します。この活動は、STP分析とも呼ばれています。STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字をとったものです。
STP分析は、以下のステップで進めます。
| ステップ | 項目 | 定義 |
| 1 | セグメンテーション | 市場を共通のニーズや似た購買パターンをもつグループに分けること |
| 2 | ターゲティング | 分けたグループのうち、どこを狙うか決めること |
| 3 | ポジショニング | 競合他社と戦うのに有利な立ち位置を決めること |
マーケティングの4Pを検討
STP分析で、標的市場とポジショニングが決まったら、マーケティングの4P(製品、価格、流通、プロモーション)を考えます。標的市場での目標を達成するために、4Pの具体的な施策を考えていきます。それぞれの施策で考えるべき具体的な内容は、以下の通りです。
| 4P | 概要 | 具体的な項目 |
| 製品 | 提供する製品・サービスは? | 機能、内容、パッケージ、デザイン、品質、付帯サービス |
| 価格 | 製品・サービスの価格は? | 標準価格、割引、支払い方法、支払期限 |
| 流通 | 流通経路はどうするか? | チャネル、流通範囲、品ぞろえ、輸送、ロジスティクス |
| プロモーション | コミュニケーションはどうするか? | 広告、販売促進、PR、口コミ、SNS |
一度設定した4P戦略も、顧客ニーズや市場の変化に合わせて、柔軟に見直してください。新規事業の立ち上げでは、計画通りに進むことは、ほとんどありませんので、顧客の反応を見ながら、製品やサービス、価格、流通、プロモーションを柔軟に修正すること が、重要です。
3 マーケティングを成功させる5つのポイント
新規事業を立ち上げる時に、マーケティングを成功させるには、5つのポイントがあります。これらのポイントを意識しながら、マーケティング戦略を立案し実行することにより、競合企業に対し優位性が確立され、新規事業の成功の可能性が高まります。
成功のポイントを理解し、しっかりと準備することができれば、マーケティングがより効果的になります。5つのポイントを意識しながら、マーケティング活動を行ってください。
- ターゲット顧客の理解
- 競合企業の分析
- ステークホルダーとの関係構築
- ブランドの構築
- Webチャネルの活用
ターゲット顧客の理解
最も重要な成功のポイントは、ターゲット顧客の理解 です。ターゲット顧客のことがわからないと、顧客の求める商品やサービスが提供できず、顧客獲得がうまくいきません。以下の質問に、明確に答えられるように、定期的に調査を行うとともに、関係者で共有してください。
- ターゲット顧客は、だれですか?
- ターゲット顧客は、何を考えていますか?
- ターゲット顧客は、どのように行動していますか?
- ターゲット顧客は、商品やサービスをどのように感じていますか?
ターゲット顧客のニーズや課題、商品やサービスを利用する理由、満足度、好みの変化 などを理解することで、最適なマーケティング活動を行うことができます。ターゲット顧客の理解は、新規事業の成功に大きな影響を与えますので、注意が必要です。
競合企業の分析
直接競い合っている企業のみが、競合企業とは限りません。業界内の競合企業の分析を行うことは当然ですが、以下の企業や新しい技術にも、注意を払う必要があります。注意を怠ってしまうと、新規事業が立ち上がった後に、競合企業から足元をすくわれるかもしれません。
- 新規参入の可能性がある企業
- 代替的な製品やサービスを提供する企業
- 新しい技術や破壊的技術をもった企業
他社が、同じ品質の商品やサービスを低価格で提供し始めたらどうしますか? 他社が、高品質の商品やサービスを同じような価格で提供し始めたらどうしますか? 新しい技術を使った会社が、市場に参入してきたらどうしますか? このような状況に対する対応やポジショニングを考えながら、マーケティングを行うことは非常に重要です。
ステークホルダーとの関係構築
ここでのステークホルダーとは、利害関係者のことを指しています。具体例は次の通りです。
- 従業員
- 販売代理店
- 供給業者
- 地域社会
- 投資家
これらのステークホルダーとの関係は良好ですか? 問題は発生していませんか? もしも気になるようであれば、早めに関係を改善するべきです。
まずは、従業員との関係に注意してください。従業員が不満を抱えている兆候が見えたら、原因をつきとめ早めに対策を打ってください。不満を抱えたままだと、マーケティング活動がうまくいくはずがありません。従業員は、居心地の良い環境で自分たちを信頼してくれる場合に、期待にこたえようと全力で業務に取り組みます。従業員の不満を取り除き、満足度をあげるための努力は、必要不可欠です。
次に、販売代理店との関係もチェックしてください。販売代理店への情報提供やサポートは十分ですか? 信頼関係を構築できていますか? 自分たちの商品やサービスを優先的に販売してもらえるように、常に気を配ってください。気になる点があれば、すぐに改善する必要があります。最終消費者に商品やサービスを提供してもらっている場合は、特に注意を払ってください。
地域社会との関係構築も必要です。遅くまで営業していたり、ゴミが散乱していたり、あいさつをしなかったり など、細かいことまで、気をつけてください。地域のイベントへの参加や清掃活動だけでも、印象が良くなり関係が良好になります。ちょっとした出来事や口コミが、思わぬ問題を引き起こさないように、注意してください。
ブランドの構築
ブランドとは、顧客が会社や商品・サービスについて抱くイメージや信頼感 のことです。ブランドが構築されれば、以下のメリットがあります。
- 信頼や信用の獲得
- 競合企業との差別化
- 顧客とのつながりが強化
- 企業文化の醸成
新規事業を立ち上げた直後は、ブランド力がありませんが、ブランドを構築できるよう根気よく努力を続けてください。そうすることで、マーケティング活動が成功に近づきます。
Webチャネルの活用
現在、ほとんどの人が、スマホやパソコンを所有し使いこなしていますので、Webチャネルを使ったコミュニケーションは非常に重要です。Webチャネルは、低コストで実施でき、かつデータ分析に基づいた改善が簡単ですので、複数のWebチャネルを組み合わせて使うこと がおすすめです。また、ターゲット顧客により、有効なWebチャネルが異なりますので、色々と試してください。Webチャネルに不慣れなおじさんよりも、Webが得意なメンバーに、担当してもらってください。
具体的なWebチャネルは、次の通りです。
- SEO(検索エンジン最適化)
- 自社のWebサイトやブログ記事が、検索エンジンで上位に表示されるように工夫
- アクセスを増やすことで、より多くの見込み顧客に情報を提供
- SNSマーケティング
- Facebook、Instagram、X などのSNSを活用
- コンテンツマーケティング
- 顧客が関心を持っている情報(役立つ記事、動画 など)を提供し信頼関係を構築
- オンラインイベント
- 商品やサービスの説明、使い方の紹介 などをオンラインで行い、顧客とコミュニケーションをとる
4 それ以外のポイントは?
新規事業のマーケティングで重要なポイントは、上記5つだけではありません。それ以外にも、注意すべきポイントが存在します。5つ以外に考えられるポイントは、以下の通りです。
- テストマーケティングの実施
- プロトタイプ(最小限の機能をもった製品・サービス)を顧客に見せ、意見を取り入れながら何回も見直してください
- 上記を行い、顧客の求める製品・サービスに近づけることが重要です
- マーケティング4Pの改善
- マーケティング活動のデータを収集・分析し製品、価格、流通、プロモーションを見直してください
- 顧客の声を集め、製品やサービスを見直すことにより、顧客満足度が高まります
- 組織やメンバーの見直し
- マーケティング担当者のスキルや経験が不足している場合は、担当者の交代やコンサルタントの採用を検討してください
- 他部門(営業部門、研究開発部門、財務部門 など)との関係がうまくいっていない場合は、メンバーの見直しも選択肢のひとつです
新規事業のマーケティングには、たくさんのポイントがありますが、重要なポイントを知っていれば、効率的なマーケティング活動を行うことができます。
5 まとめ
今回の記事では、新規事業のマーケティングと、成功させる5つのポイントを解説しました。この5つのポイントを理解してから、マーケティング活動を行ってください。事前にポイント知っておくことで、新規事業のマーケティングがスムーズに進み、新規事業の立ち上げが容易になります。
新規事業のマーケティングを成功させる5つのポイント
- ターゲット顧客の理解
- 競合企業の分析
- ステークホルダーとの関係構築
- ブランドの構築
- Webチャネルの活用